相続のQ&A
目次
- 1 Q 相談に行くとき何を持っていけばいいですか?
- 2 Q 相続登記に必要な書類は何ですか?
- 3 Q 遺産分割の全体的な流れをおしえてください
- 4 Q 相続手続きはいつまでにしなければいけませんか?
- 5 Q 亡くなった父の不動産が遠方にありますが手続きはやってもらえますか?
- 6 Q 家族が亡くなりましたが誰がどれだけ相続できますか?
- 7 Q 相続人の中に未成年者がいますが未成年者も相続人ですか?
- 8 Q 内縁の妻は相続人になりませんか?
- 9 Q 相続人の中に行方不明者がいる場合はどうしたらいいですか?
- 10 Q 相続人の中に認知症の人がいる場合遺産分割協議はどうしたらいいですか?
- 11 Q 被相続人が海外に住んでいた場合相続はどのようになりますか?
- 12 Q 相続人の中に海外に住んでいる者がいる場合どうしたらいいですか?
- 13 Q 相続財産が自宅しかない場合はどのように相続手続きを進めたらいいですか?
- 14 Q 相続税について教えてください
- 15 Q 小規模宅地の特例とは何ですか?
- 16 Q 相続から3ヶ月以上経過してしまった場合相続放棄はできませんか?
- 17 Q 相続時精算課税制度とは何ですか?
Q 相談に行くとき何を持っていけばいいですか?
A 下記のものがあれば持参をお願いしています。
・亡くなられた方の戸籍謄本
・相続財産がわかるもの(権利証、通帳、株券など)
・固定資産税の納付通知書
・来所される方の身分を確認できる運転免許証など
・認印
Q 相続登記に必要な書類は何ですか?
A 相続登記には下記の書類が必要になります。
・被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡まで戸籍謄本
・住民票の除票
※登記簿上の住所と本籍が同一の場合は不要です
※本籍の記載は省略しないでください
・相続人の戸籍謄本又は抄本
・不動産を取得する相続人の住民票又は戸籍の附票
・相続不動産の固定資産税評価証明書
その他必要な書類
・遺言書
・法定相続分以外で相続する場合は遺産分割協議書と印鑑証明書
上記以外にも事案によって必要な書類がありますのでご相談ください。
印鑑証明書以外の書類は委任をいただければ当方で取得できます。
Q 遺産分割の全体的な流れをおしえてください
A まず、相続人と遺産の範囲を確定させる必要があります。
亡くなった方が遺言を残している場合はそれに従って遺産分割を行います。
遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議をし、協議がまとまれば遺産分割協議書を作成します。
相続人間で協議がまとまらない場合は家庭裁判所で調停、審判という手続きが必要になります。
Q 相続手続きはいつまでにしなければいけませんか?
A 相続が発生した場合期限があるものとしてまず、相続税の申告、納付があります。
相続税の申告、納付は相続の開始を知った日から10ヶ月以内に行う必要があります。
当事務所に最初に来所された場合は提携の税理士事務所をご紹介いたします。
また、相続するかどうかを決める期限は3ヶ月と短めですのでもし、プラスの財産が少なく
借金が多くあることが事前に分かっている場合はこの期間内に相続放棄の手続きが必要になります。
それ以外では亡くなった方が自営業をしていたなど毎年確定申告をしていた場合は4ヶ月以内に準確定
申告の手続きを行う必要があります。
Q 亡くなった父の不動産が遠方にありますが手続きはやってもらえますか?
A 不動産が遠方にある場合でも登記の申請はオンライン、郵送で申請できますので
遠方に不動産がある場合でも近場の不動産の場合と同じ費用で手続きができます。
Q 家族が亡くなりましたが誰がどれだけ相続できますか?
A 相続できる者、相続の割合は民法に定められています。
配偶者がいる場合は常に相続人になります。
相続順位としては第1順位が子、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹です。
第1順位の子が先に死亡している場合は孫に相続する権利があります。
直系尊属が相続人となる場合に父母の両方の方が亡くなられていて、祖父母の方が
いらっしゃれば祖父母が相続人になります。
第3順位の兄弟姉妹が相続人になる場合で先に亡くなっている兄弟姉妹が
いる場合はその兄弟姉妹の子(姪、甥)が相続人になります。
Q 相続人の中に未成年者がいますが未成年者も相続人ですか?
A 未成年者の方も相続人になります。ただし、夫が亡くなり妻と未成年者の子が
相続人といったケースでは遺産分割協議をする場合に未成年者の子に対し、
特別代理人を選任する手続きを家庭裁判所でする必要があります。
特別代理人を選任する際は親族などを候補にできますが依頼する親族などが
いない場合は当事務所で特別代理人の候補にしていただくことができますので
ご相談ください。
Q 内縁の妻は相続人になりませんか?
A 事実婚は法定の婚姻ではないので相続人にはなりません。
財産で承継させたいものがある場合は遺言を作成する必要があります。
ただ、亡くなった方に相続人が誰もいないようなケースの場合は特別縁故者
として財産を受けることができる場合があります。
内縁の妻は相続人ではありませんが借家権については借地借家法により
相続人がいない場合は借家権の承継が認められ、相続人がいる場合でも
過去の裁判例において特別な理由のない限り、相続人がその借家に居住
していた内縁の配偶者に退去を迫ることは許されないというものがあります。
Q 相続人の中に行方不明者がいる場合はどうしたらいいですか?
A まず、戸籍の附票と取得して現在住所を調べます。
現在住所を調査しても行方が分からない場合は不在者財産管理人の選任手続きを
家庭裁判所でします。
不在者財産管理人の申し立ては、不在者の従来の住所地の家庭裁判所に対して行います。
申し立てができる人は利害関係人(不在者の配偶者、相続人に当たる者、債権者など)と
検察官です。
不在者財産管理人を選任して遺産分割協議をするうえで注意したいのが不在者の相続分を無しとする
ような遺産分割協議はできず法定相続分を確保した内容に原則しなければなりません。
Q 相続人の中に認知症の人がいる場合遺産分割協議はどうしたらいいですか?
A 認知症などの精神上の障害により判断能力を欠く者は遺産分割協議をすることは
できないので家庭裁判所で成年後見人の申し立てをし、選任された成年後見人と
遺産分割協議をすることになります。
成年後見開始の審判申立ては、本人の住所地の家庭裁判所にします。
本人、配偶者、4親等内の親族、市区町村長などが申立てをすることができます。
相続人を成年後見人に選任した場合は、遺産分割協議の場面では、利益相反行為に
なるので特別代理人の選任が必要になります。
なお、成年後見制度は成年被後見人の保護にあるので成年被後見人の相続分を無し
とするような遺産分割協議は行うことができません。
また、遺産分割協議のために選任した場合でも成年被後見人の判断能力が回復するか
死亡するまで成年後見人の職務は続きます。
Q 被相続人が海外に住んでいた場合相続はどのようになりますか?
A 被相続人の国籍が外国籍か日本国籍かで相続の方法が異なります。
日本の法律は「相続は、被相続人の本国法による」と規定しているため
相続に関しては亡くなった人の本国法に従う必要があります。
被相続人が外国籍の場合、その国の相続に関する法律に従うことになりますが
法律によっては、不動産の所在地の法律に従うという決まりがある場合もあるので
不動産が日本国内にある場合は、日本の法律によって相続が処理されることもあります。
被相続人が日本国籍の場合は日本の法律が適用されますので、通常通りの相続手続きに
なります。
Q 相続人の中に海外に住んでいる者がいる場合どうしたらいいですか?
A 遺産分割の協議をするには相続人全員の参加が必要です。
もちろん、海外に住んでいる人がいればその人も参加する必要があります。
相続人全員が参加しないでした遺産分割協議は無効になります。
遺産分割協議書には印鑑証明の添付が必要ですが海外では台湾、韓国を除いて
印鑑証明書や住民票の制度がありません。
印鑑証明書の代わりとして日本領事館等の在外公館に出向いて遺産分割協議書に
相続人が署名した旨の証明でサイン証明を取得する必要があります。
住民票が必要な場合には現地の日本領事館にパスポートや運転免許証など現住所に
いつから居住しているのかを証明できる書類を提示して在留証明書を取得する必要があります。
外国籍に帰化している場合には戸籍の代わる相続証明書が必要になります。
Q 相続財産が自宅しかない場合はどのように相続手続きを進めたらいいですか?
A まず相続する方法として1つは相続人全員の共有で相続する方法があります。
ただ、この方法で相続する場合、売却をしたいと相続人のうち1人が考えても
他の共有者全員の同意が得られなければ売却できません。
その他、お互いが相続人にならない者で共有になってる場合次の相続が
あった場合に人数が増えたり、疎遠のため連絡がとれない者がでてきたりと
デメリットがあります。
その他の方法として売却して金銭を分けるという方法もあります。
あとは実際に相続人の中の1人が居住しているような場合は、売却が難しいと
思いますので、実際に住んでいる相続人が1人で相続し、その代り他の相続人
には金銭を支払うという方法も考えられます。
ただこの方法をとるには自宅を相続する相続人に金銭が必要なため、生命保険
などを利用したり生前の対策を考えて置く必要があります。
Q 相続税について教えてください
A 当事務所へ相談に来る方で相続税がいくらかかるのか心配しているケースが多くあります。
平成27年1月から法改正され相続税を支払う人が増えることになりますが改正前でも
相続全体で相続税の支払いが必要な人は4%ぐらいしかなく、今回の法改正で8%ぐらいに
増えると言われています。
ただ、9割以上の方は支払う必要がないので当事務所へ相談に来られる場合ほとんどの
方が相続税の支払いが必要ない方になっています。
当事務所へ相談に来て支払が必要になりそうなケースは提携の税理士の先生を紹介させていただきます。
では相続税の支払いが必要な場合とはどういう場合か
簡単に書くとまず基礎控除というものがあります。
基礎控除の額は3000万円+(600万円×法定相続人の数)で求めます。
そして、被相続人から相続又は遺贈によって財産を取得した人がそれぞれの課税価格の合計額が、上記の
基礎控除額を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告が必要になります。
相続税の申告には10カ月という期限がありますので相続が発生したら早めにご相談ください。
※法定相続人の数は相続放棄をした人がいてもその人を人数に含めます。
被相続人に養子がいる場合は実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで含まれます。
Q 小規模宅地の特例とは何ですか?
A 被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は
居住の用に供されていた宅地等がある場合には、一定の要件の下に、遺産である
宅地等のうち限度面積までの部分について、相続税の課税価格に算入すべき
価額の計算上、一定の割合を減額できることをいいます。
なお、相続開始3年以内に贈与により取得した宅地等や相続時精算課税に係る贈与
により取得した宅地等についてはこの特例の適用を受けることができません。
この特例により相続税の支払いが不要の場合でも申告は必要なのでお気を付けください。
Q 相続から3ヶ月以上経過してしまった場合相続放棄はできませんか?
A 相続から3ヶ月以上経過しても相続放棄できる場合はあります。
まず、相続放棄とは家庭裁判所へ相続開始後に相続開始を知ったときから3ヶ月以内に
手続きをとることで最初から相続人ではなかったとみなされる手続きです。
話し合いの中で相続する権利を放棄する場合はここでいう相続放棄とは違います。
家庭裁判所で手続きをとることによって最初から相続人ではなかったとみなされるので
プラスの財産もマイナスの財産も相続することはありません。
3ヶ月以内であっても、相続財産の全部又は一部を処分したり、隠蔽などした場合は
相続を承認したものとみなされ、相続放棄できなくなります。
この3ヶ月を経過してしまうと、相続を承認したものとみなされ、原則相続放棄
できなくなります。
ただ、特別な事情がある場合はこの3ヶ月経過後であっても相続放棄をすることが
できます。
当事務所では3ヶ月以上経過して数年経過、長いものでは10年ちょっと経過
しているケースでも相続放棄できたケースがあります。
3ヶ月経過したからといってあきらめず当事務所へご相談ください。
Q 相続時精算課税制度とは何ですか?
A まず、贈与税の課税制度には暦年課税と相続時精算課税の2つがあります。
相続時精算課税制度とは60歳以上の者から20歳以上の推定相続人及び孫に贈与を
した場合2500万円以内であれば贈与税がかからず、2500万円を超えた部分に
ついては一律20%の贈与税とする制度です。
相続発生時には贈与した財産を相続財産に含めて計算し、相続税が必要な場合は
そこから差し引いて、逆に贈与税の支払いが多い場合は還付を受けられます。
もうひとつの暦年課税はその年の1月1日から12月31日までの間に受けた贈与の額が
110万円を超える場合は贈与税が発生するというものです。
相続時精算課税制度のメリットとしては一度に多額の贈与ができること、収益物件の贈与で
あれば今後発生する収益は受贈者の財産となるので相続財産の増加を防げること、
将来値上がりする見込みがある財産であれば事前に贈与することによって値上がり分
の価値を相続時に計算しなくてよくなることなどあります。
デメリットとして注意が必要なのは相続時精算課税制度を一度選択してしまうとこの
暦年課税制度には戻れなくなることです。
なので長い目で見れば相続時精算課税制度を利用しない方が得な場合があります。
あとは、小規模宅地等の特例が受けれないなどデメリットもある制度ですので
事前にご相談ください。